中学の頃、千葉の半島の先っぽにある田舎のおばあちゃんの家に、夏休みなので一人で遊びに行きました。
行ったところでとくに遊ぶものが無い田舎だったんで、いつものように、家の裏に流れている大きめの川に泳いでいる、フナを眺めに散歩に出ました。
真っ直ぐに林道を突っ切って、何十万回も通っている道を歩いていると、「ギャアギャア」聴こえるんですよ。
サカリがついたような大きなネコの声、でも「ウヮーン」や「ゥミャーン!」ではなく「ギャアギャア」と、しかも複数がハモってるんです。
声がする方向は、近所の自家栽培している畑で、平な林の中でそこだけひらけているんですよね。
で自分は「ネコがケンカしているんだろうな」、「それにしては声の調子が違うし、ズーッと途切れなく続くしなんだろうな」、と思って声のするひらけた場所をのぞきこんだら・・・・
!!!!!
こちらに背を向けた、完全な「視力検査のCの形」に約10匹の近所中のノラネコが並んで座っていて、そのCの中に1匹入ってて、やはり一斉に「ギャアギャア」口を開けて互いの顔を見ながら喋っていたんです。
一歩足を踏み出してのぞきこんだ自分は、その完璧な形を見て「わージブリかよスゲー」「しかも口で会話してるじゃん、ネコってそんなことするんだ」と思ってニコニコしていたら、その中の1匹がコチラに気づいて黙ったんです。
そして一斉に、逃げずに座ったまま首だけこっちに向けにらむ十数匹のネコ・・・・
まるで自分が、知らないクラスの授業中に間違って入っていって、クラス中のおまえ誰?って視線を浴びて立ち尽くしている感じがして、嫌な気分になり、慌てて川に行くのを止めて家に引き返しました。
fin
タイトル:真夏の昼のネコ会議もしくはネコ部ネコ
‥‥後日談があって、次の年に遊びに行ったら1匹もノラネコがいません。
おばあちゃんに聞いたところ、「増えすぎたから、毒ダンゴを近所の人がまいた」「死体は1匹も見てない、だれも」だそうです。
ネコが死ぬときにはどこかに潜り込むってのは本当だったんですね‥‥
不可解な体験、謎な話~enigma~ 26