ツタの絡まった家

小学校の時の話。

大きな川沿いの町に住んでいた自分は、友人につき合って川向こうの友人の親戚宅に届け物に行った。

川沿いの土手を自転車で走っていると、ツタのびっしり絡まった家を見つけた。
二階の窓が開いていて、白いカーテンと髪の長い綺麗なお姉さんの姿が見えた。
田舎町には珍しい雰囲気のある家だったので、帰りにもう一度よく見ようと心に決めていた。

そして、帰り道、例の家が見えてきた。
しかし、記憶にあった家とは違っていた。
二階建てのツタの絡まる家のはずが、二階建てくらいの大きさの倉庫になっていた。
ツタはびっしりと絡まっていたが、綺麗なお姉さんがいた窓はなくなっていた。

その後、何度か同じ道で、探してみたけれど、綺麗なお姉さんの窓を見たのはその時だけだった。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 28

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