ピアノの音

ひとつだけ不可解な出来事がある。
文章書くの好きだから自然に長文になっちゃった、、すまん。

中学生当時、文化祭の最後に全校合唱があって(今もあるとは思うが)、俺が指揮者をやることになった。そのときの話。

文化祭の季節はうちの中学では秋、とはいっても10月下旬。
おまけに本州でも北の地方だったから、北風も強くほぼ冬の入り口のような気温だった。
だけど、クラスのや各文化部が自分たちの展示のための作品作りをしたり、ダンス・バンド・演劇など、出し物の練習をしたりする生徒でどことなく空気も活気づき、校内には連日遅くまで教職員と生徒が残っていた。

2日ある文化祭のうち、1日目が終わった後、伴奏者の子と先生と音楽室に残ってどういう演奏にするか話しあいや練習をやっていたりしたら、いつの間にか夜の10時くらいになってしまった。
先生は8時くらいに職員室で仕事をするというので先に3階の音楽室から出て行った。

さすがに文化祭と言えども『こんな時間に校内にいてはだめだ、明日の朝もう一度最後の打ち合わせをしよう』
ということになって、解散することにした。

先生に怒られないようにピアノの蓋を閉めて鍵をかけて。カーテンも元のようにしっかりまとめて。
楽譜を管理している棚も閉めて、色々な楽器の置いてある準備室の扉の鍵をかけた。
鍵束は俺が持っていた。
部屋には俺とその子しかいなかったので、さっさと電気を消してひっそりと静まり返り、もう誰も居ない校舎へと出た。

「非常口」の緑のランプが点々と点る廊下は、十分それだけで怖かったが、結構離れた階段へは足元に気をつけながらゆっくり歩いていった。
当時片思いだったその子と一緒に歩きたかったというのもあったがw

数歩ほど歩を進めたときだったか、耳をつんざくような「ジャーン!!!」というピアノの不協和音が廊下に鳴り響いた。
何人かで全部の音を一気に鳴らした感じの、すさまじくでかい音がした。
2人で反射的に振り返って呆然とした後、慌てて荷物も放り出し音楽室のドアを開けた。
怖かったが、先生に怒られるほうがもっと怖かったからだ。(ほんとに怖い先生だった…実は今でも怖いw)

ドアを開けて唖然とした。
「消したはず」の電気がつき、「鍵をかけたはず」の窓は全て開き、「たたんだはず」のカーテンも窓から入る風にばたばたとあおられ、なによりも「鍵までかけたはず」のピアノの鍵盤の蓋が開いていた。
布のピアノカバーも椅子に畳まれた状態で置かれていて、明らかに風のがカバーを吹き飛ばした様子ではない。

2人でぼんやりその光景を見ていたのだが、顔を見合わせて「先生に怒られる!!」って叫びつつ慌てて元に戻して、また静まり返った廊下に出た。

鍵を返しに職員室まで恐怖心からか自然と手をつないだまま行って、音楽の先生に鍵を渡した。
小走りになりながら職員室を出て、校門でその子と別れた。

次の日、こんなことがあったと担任の先生に冗談交じりで言った。そしたら
「音楽室裏のひょろ長いナナカマド木、あるでしょ。あれね、昔首吊り自殺があったんだってよ。先生も赴任する前の話だから知らないし、もうその頃板先生たちは退任しちゃったから誰も詳しいことわかんないんだけどね」
って帰ってきた。。。なんか関係あるのかな。
10年経った今でもあの恐怖は忘れられません。

ちなみにそのピアニストの子とはそれ以来何の発展も無いまま卒業を迎えましたw
吊り橋効果もなにもあったもんじゃねえw

不可解な体験、謎な話~enigma~ 31

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