仲のいい友達

お盆になると思い出す。が、あんまり恐くない話。

自分が小学2年の頃の話。
「タケシ」という毎日のように遊ぶ仲のいい友達が居た。
川の近くの公園で毎日暗くなるまで遊んでいたが、ある日唐傘をかぶった托鉢のお坊さんが公園の外からじっとこちらを見ているのに気が付いた。

オレ「気味の悪いお坊さんだね。」
タケシ「う・・うん・・・」
オレ「でも、こっちに来ないしそのまま遊ぼうよ。」
タケシ「・・・・・」

タケシは妙にそのお坊さんが気になるようで、遊びながらもちらちらとお坊さんの方を見ていた。
しばらくするとそのお坊さんは公園内に一歩足を踏み入れ、持っていた錫杖を地面に突き刺すように鳴らした。

「シャリーン!」「ヒッ!」
錫杖の音とタケシの声が同時にしたと思った瞬間、タケシは公園の外へ走っていってしまった。
呆気にとられたオレはその場で立ちつくし、お坊さんは何事もなかったように公園を出ていった。

その後しばらくタケシが戻ってくるのを待っていたが、戻ってこなかったので取り敢えず家に帰ってみるとさっきのお坊さんが家から出てくる所だった。
「○○君、大きくなったね。」と言ってオレの頭を撫でて帰っていった。

翌日、オレは母親に連れられて公園の近くの川へ行った。
そこには小さなお堂があって、お地蔵さんが祀ってあった。
母親は花と水とお菓子を供えてなにやらお祈りをしていた。

その日を境に再びタケシと遊ぶことはなかった。

中学2年のお盆に、ふとタケシのことを思い出し母親に聞いてみた。
「あのお坊さんは家のお墓があるお寺の人で、公園でお前が遊んでいたのは川で亡くなった子供の霊だそうだ。悪い霊ではなく、ただ遊びたいだけだったらしいけど、一緒に泳いだりしたら”霊にその気がなくても”連れていかれるかもしれなかった」とのこと。

タケシと一緒に遊んだ時の手の感触や、埃を叩いてはらいあった感触など今でもハッキリと思い出せる。
アレは本当に霊だったのだろうかと今でも不思議に思う。

ほんのりと怖い話6

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