学校の開かずの間

小学校の頃の話

私が通っていた小学校には開かずの部屋があった。
その開かずの間の存在は、物心ついた頃から兄弟から聞いていた。
八つ年の離れた一番上の姉が入学したのが創立7年目で、その時点で既にあったという。

なぜ開かずの部屋になったかは解らないが、その部屋を覗こうとしたり、窓や扉を開けようとするだけで祟りにあうらしく、試しにやってみた生徒が階段から落ちたり、交通事故にあったりという事が何度か起こったらしい。

先生は絶対あの部屋には近づくなと大真面目に言っていた。
いつ頃からか、あの部屋のことを口に出すのも危ないという噂が出てきたので、あの部屋のことは誰も喋らないし、近づこうとする人もいなかった。

自分が6年生になったある日、あの部屋には○○先生のエロ本が隠してあるという噂がたった。
まだみんなうぶだったので、見に行こう!と言い出すような勇気がある生徒はいなかった。
言い出したものなら即変態扱いされそうだった。

変態扱いはされたくないけど見たくて仕様が無かった私は、そんなものがあったら大変だ、校長に知らせないと!その前に確認しに行こう!という風にみんなを誘った。 
6年になるまで何も起きてなかったし、高学年になった頃から先生もその部屋の注意をしなくなり、さらにエロ本が隠してあるというふざけた噂を聞いてその部屋に対する恐怖心がかなり薄らいでいた。

放課後、9人ほどで行くことになった。
そのうち2人が職員室に鍵を取りにいったが、それらしい鍵が無いと言って戻ってきた。
職員室に○○先生がいなかったので、その部屋に行ってるんだ!という話になり、その部屋に向かった。

その部屋は外側からはカーテンというか、黒い布が窓に張り付いていて見れなくなっている。
廊下側の窓は白っぽいガラスで部屋の中は見えないが、窓やら扉が並んでる上にもう一段窓があり、そこのガラスは透明になっている。
傍から見ると部屋の中は真っ暗という感じだった。

気付かれないように電気を消しているんだなと話し合い、高いところの透明の窓を一人が覗いて見ることにした。
しかし下の窓の縁に足を引っ掛けようとしたところで派手な音が出てしまい、みんな一斉に逃げた。
逃げたと言っても10数メートルほどで、振り返って部屋の様子を見ても何の音沙汰もない。
みんな薄々は誰もいないんじゃないかという気がしてたんだと思う。

部屋の前に戻り、じゃあ鍵も閉まってるんだなきっとっていう話をしながら誰かが扉に手をかけたらガラッと開いた。
中が見えた瞬間みんなうわああああああって叫びながら運動場まで走って逃げた。

部屋の中は普通の教室のように机が並んでいて、それぞれの椅子に白い影が座っていた。
顔は目と口の部分が黒く窪んでいるようにぼやけて見えた。
それが一斉にこっちを向きかけた瞬間全力で逃げた。
運動場でみんな口々にその白い影のことを話したが、2人だけ○○先生が黒板に何か書いていたのを見たと言った。
ずっと黒板に向かって何か書いていて、口がなにかぼそぼそ喋っているように動いて見えたという。

祟りの恐怖で担任の先生に報告した後、何人か先生がその部屋にぞろぞろ向かっていった。
しかし鍵は閉まっていたようで、中は見なかったらしい。
○○先生は、あの部屋を見た時間帯は自分の受け持つクラスの教室にいたとのことだった。
家に電話させられてから神社に御祓いに連れて行ってもらった。
その後、特に祟りと思えるようなことは無かった。

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