同じ霊

心霊サイトってあるじゃん。散々既出の心霊写真やら心霊映像やらをまとめて動画にして、次々に貼り付けてあるブログ形式のサイト。
暇な時にしばしば見てるんだけど、一つ妙なことに気付いたんだ。

それは、心霊写真・心霊映像共に、「複数にわたって同一の霊?が写り込んでいる」ということ。

どういうことかと言うと、例えば屋根裏を撮った映像に浮かび上がった白い顔が、全く別の観光地の映像にも写っていたり、というふうに。(心霊動画をよく見る人には心当たりがあると思う)

それらは大方「ほん呪」シリーズが出展であるので、発見した当初は
「プッ、これで合成って丸分かりじゃんwバカスww(それでも見つけてすぐはゾッとしたw)」ぐらいに思ってたんだけど…

ある日、暇だったもので心霊サイトを回っていると、何度も同じ霊に出会った。
切れ長で、それでいて落ち窪んだ腫れ目蓋の太った中年の女。笑ってる。
この写真にも、この写真にも。そのオバチャンは写りこんでいる。笑ってる。

一番寒気がしたのは、高校のラグビー部の集合写真。
そのオバチャンは、一番左手前の選手の右肩の上から小さな顔だけを出し、ニンマリと笑っている。
生き生きとしたピンク色の顔で、半分透き通っている。

この写真に対する解説で、さらに不可解な気分になった。
「この写真を見た選手達は優しい気持ちになった。映りこんでいるその女性は、撮影のあった日に行われた試合に同行できず、その一週間前に病死したマネージャーだったのである」

寒気がした。誰がどう見ても中年の丸々と太った女だ。
ピチピチの女子高校生とはワケが違う。
思わず噴き出したのと、「なんで…!?」という違和感・恐怖が一緒になった。
そもそも、これだけ複数にわたって同じ容姿の女が写りこんでいるのに、なぜ誰もそのことに触れないのか?
心霊現象とはまた違った、戸惑いと不信感に満ちた恐怖がじわじわ来た。

なんだか怖くなったので、その日はUFO映像の巡回に切り替えた。

夜、家族と食事を取った後、恐怖もやわらいだ俺は家族にその一連のオバチャンが写った写真達を見せようとした。
ところが、いくら探しても見つからない。こんなことってあるのだろうか?
躍起になって探せば探すほど、オバチャンが遠くに感じられた。

それから日が経って、つい先日のことなんだけど、漫画本が増えたのでリビングの本棚の整理をしてたんだ。
すると、棚の奥底から心霊写真集の単行本を見つけた。
作者を見ると、中岡俊哉だった。今から30年以上前の本だった。
ページを捲ると、白黒のはっきりしない写真ばかりで俺はすぐに退屈した。

しかしその後、俺は無様な悲鳴と共にその本を取り落とすことになったw

それは、大昔の白黒写真だった。
昭和初期の時代を感じる服装とヘアスタイルの人々が、二列に集合して写っている。
そう、ちょうどあの高校ラグビーの写真のように。
タイトルには「はっきりと女性の姿が…」と書かれてあるものの、一向に分からない。

「えー、どこよ?」と退屈しながら探していると、不意にそいつと目が合った。
探してもすぐには分からない、そいつは写真全体にわたって大きく写りこんでいたのだった。
もう、その目を見た瞬間に悟った。例のオバチャンだ。
「ああ、また…!!」と呻いて俺は本を落としてしまった。

あのオバチャンは霊なのか、それとも半世紀以上にわたって何処かの狂人が同じ女性の姿を写真に合成し続けているのか?
そのオバチャンは写真によって髪型や顔の角度が違う。
ただ、大きな腫れ目蓋と満面の笑みは常に浮かべている。
どちらにせよ、何者かの異常な意図が感じられてなんとも不気味である。

オカルトファンなら必ず一度は見たことがあると思う。
ほんと、あのオバチャン何者なんだろう…?

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