化かされる

猟師の話

夜、焚き火をしていると、近づいてくる人影がある。
登山者のようだ。暖をとらせて欲しいという男に、彼は快く応じた。
お礼にと差し出された水筒には、酒が入っていた。

ほほぅ。これはうまい、うまい。
ついつい飲みすぎて、彼は酔いつぶれてしまった。
夜中、目覚めると男の姿がない。
ひどく胸がむかむかして、思わず吐いた。小便臭い反吐だったという。

「化かされたんだろうな」彼はそう言って笑った。

山にまつわる怖い話34

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