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忘れる筈もない1年前の2007年11月の出来事。
とあるなんの変哲も無い量産型ネトゲでの出来事。

あるギルドに所属してたんだけど、ギルド結成一周年を祝して都内某所でギルメン達によるオフ会を実施。
準廃人多かったしキモヲタ多いんだろうなと思ったんだけど、実際皆見た目は普通な大学生や自営業を営んでる一般人ばかりだった(見た目キモヲタだったのは俺くらいw)

んで大体そろい始めた頃遅れて一見風変わりな女の子がやってきた。
髪の毛がとにかく長くて多分無染なんだけど、痛んで茶色がかってて身長が恐らく150センチ無い。
でも他に♀キャラを使ってた人はいないし「君は誰」って話になったんだけど、ギルドのサブマスか参謀か忘れたんだが幹部の立場にいた柘榴(仮名)だと判明。
因みに柘榴はガチムチの♂キャラで口調や性格もどうみても男で皆の驚き様は凄かった。

そして夜まで居酒屋で酒呷りながらわいわいやってたんだが、柘榴がやはりゲーム中と全く違う、全くしゃべらない。でも他の会話に反応してニヤニヤはしてた。
マスターと仲がよかったからマスターの方から色々声かけたり質問とかしてたんだけど、わかっている事は埼玉住みの19歳で大学には通っていない事。

そしてオフ会はお開き。元々気心の知れた奴らだからなのか、中々どうしてオフ会はとても面白かった。またやろうって話になってその日はメアドや電話番号を交換して解散。
これが8月、つまり夏休みの話。

そして10月が終わる頃に突如柘榴の会話がなくなった。
いつもは自分から話題を振ったりするはずなのに、まるでこの間のオフ会のように突然無口になった。

でもログインはしている。フレンドリストを見ると居場所は常に街中になっていて、相変わらず返答の無い柘榴を見かねたマスターが街中を捜索、でも見つからなかった。

メンバーたちが気づかない内に気に障る事を言ったんじゃないかと、マスターが何故か凄く怒ってギルド内が少しギスギスし始めてた(それが原因で主要メンバーが一人脱退した)
マスターは柘榴の携帯にメールや電話を何回もしたらしいんだが返答はやはり無し。

皆このまま柘榴が自然にギルドを抜けるのだろうと諦めてた。
11月上旬マスターまでもが途端にログインしなくなる。
久々にログインしたかと思えば無口で、皆がどうしたんだよって問い詰めたら、突如おかしな事を言ってきた。

「柘榴の携帯から『娘は10月に死にました』って、母親からメールが来たんだ」

そのメールには他に葬儀の案内等が添えて綴られてた。死因は書いてなかったとの事。
10分ほどチャットのログの更新が途絶えた。皆一斉にフレンドリストを開いたのだと思う。
俺も開いた。
やっぱり柘榴はログインしていて、居場所は街中だった。

その日を境にマスターを初め、何人かが二度とゲームにはログインしてこなくなった。
蛻の殻となったギルドは自然消滅したけど、俺はまだ細々と続けている。
柘榴は、フレンドリストから削除した。
今どうなってるかはわからない。

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