寒気

父親の話。

いわゆる不良社員で朝から会社を休むなんてのが結構ある。
でも、しっかり出世してるw本人いわく仕事を責任持ってやってるからだそうだ…
こんな父だが、会社を早退することは滅多にない。
風邪こじらせても、定時まではしっかり働いてくる人。
んで翌日、翌々日休むのは如何な者かと…

でもたまに、早く帰ってくる。理由もなしに。会社側には寒気と言ってきてるらしいが。
そういう時は、一言も喋らず毛布に包まってNHKを見てる。

こんなことがあった。
小学校から帰ってくると父がテレビを見ていた。
父が言うには「寒い」
子供ながらに、どうしたんだこの人?、と思っていた。無言だから余計に不気味。

その日の夜、中華航空機が名古屋空港に墜落してた。人が沢山亡くなってた。
臨時ニュースを見ながら父がぼそっと一言。
「これか」
この一言は妙に印象が残ってる。

母が言うには、父は時々こんな状態になるらしい。
御巣鷹山の時もこうだったそうだ。阪神大震災の日の前日も早退してたらしい。
最近では、911テロ事件、スマトラ沖の津波の時もこんな状態だったように思う。
スマトラ沖の時は確か父の会社が休みだったから、自室に篭ってテレビ見てた。

本人に質問してみたところ、「人が沢山死ぬのが分かる」そうだ。
ただ、それは寒気として症状にでて、言いようのない不安感があるらしい。
それで、自分はとりあえず自宅に避難するんだと。
同僚には信じてもらえないだろうからそのまま帰ってくるらしい。
何が起こるかまでは分からないって言ってた。

身内が亡くなる数週間前にも似たような症状が出てる。
ただし、こっちは人数が少ないことが分かるらしく、
「○○(自分の名前)、×月の第△週の予定空けとけよ。たぶん葬式がある。」
と真顔で言うこともしばしば。んで、実際にそうなる。
遠い親戚や父の会社の上司なんかのこともあって、直接自分には関係ない葬儀のこともあるんだけど。

この人は一体何を読み取ってるんだろうか。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 41

シェアする