妹と貴族

これはアパートで一人暮らしをしている妹に聞いた話です。

妹は睡眠障害を患っていて、いつも病院で処方された眠剤を飲んでいました。
でも、大学が忙しくてなかなか病院に行く事が出来ずにいたらしく、眠剤が無いとうまく眠れないのに、わかっていながら眠剤を切らしてしまったそうです。

それでも明日も大学があるからと、無理にでも眠ろうとベットに入ってがんばってはみたものの、やっぱり全然眠れず途方にくれていた時のこと、いきなり人生ではじめての金縛りにあったのです。

あまりに突然で、何が起こったか最初はわからなくてパニックになっていたら、今度は、耳元で誰かがボソボソ何か言って来たそうなんです。でも何を言っているのか聞き取れない。
断片的に接続詞っぽいのは聞こえてくるけど、やっぱり肝心な部分が聞こえない。

気づくと妹を囲むように、ベットのまわりをたくさんのベルバラ風の貴族たちが!

貴族はかわるがわる妹に近づいて来て、耳元で何かを話しかけて来る。
妹「なんで貴族が私の部屋に!?」
結局、貴族が何を話しかけて来たのかは最後までわからずじまいで、気がついた時には朝だったとのこと。

それから久しぶりに行った妹の部屋は、すっかりロココ調になっていました。
「なんでよりによって貴族が私なんかに、なんの話があったのかどうしても気になる」と言って、貴族がまた現れるようにと、貴族に気を使って部屋をできるかぎりおフランスに近づけてみたと言うのです。

そんな妹の心遣いも虚しく、あれから貴族は現れてはくれません。
でも、妹はまったく諦めておらず、部屋だけがどんどん貴族チックになっていきます。
このままいくと、妹がコルセットにまで手を出しそうで恐ろしいです。
そんな私は、来たる3月の妹の誕生日に、ティーセットをプレゼントするつもりです。

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妹と貴族の話を書かせてもらったものです。
他にも妹に関する話があるので、よかったら読んでください。
これは、まだ妹がアパート暮らしをする前の話です。

実は私は、前から微妙な体験をすることが頻繁にありまして、例えば金縛り、ラップ音、自室で女の笑い声、後ろを横切る人影などです。
でも、これらは錯覚や気のせいだと言える程度のものでした。

けれど、あまりに頻繁なのでどうにかしたいとは常々思っていたんです。
どうしても、これが本当に霊的なものなのか、それとも気のせいなのかをハッキリしたくて、友達に頼んで霊能者を紹介してもらったんです。

霊能者の方が言うには、どうもそれは妹に原因があるとのことでした。
妹は霊感はないですが、霊に取り憑かれやすい体質らしくて、妹に憑いて来た霊を、私が今まで感じていたそうなんです。でも理不尽なことに妹に憑いて来た霊は、妹を見限り、殆ど私のほうに来てしまうと言うんです。

妹は霊に取り憑かれやすい体質にも関わらず、私が血のつながりを疑うほどの冷徹な性格で、そのせいか、霊はコイツじゃ何もしてくれないと判断するみたいで、多少なりとも霊感がある私のところに来ると、こういうわけだったんです。

貴族の話じゃわからないでしょうが、血も涙もないどうしようもない子なんです。
ですが、妹が大学生になりアパートで暮らすようになってからは、驚くほど何もありません。

最初のうちは、妹が使っていた部屋のドアが勝手に開いたり、その部屋から咳払いが聞こえたり、廊下を足音だけがウロウロしていたりと、不可解なことは少しありましたが、今ではさっぱり何も起きなくなりました。妹には悪いですが、もう帰って来ないでくれと思ています。

文章を書くのが苦手なので、おかしな部分もあったとは思いますが、ここまで読んでくれてありがとうございました。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 49

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