マテェ~~

私が小学生の頃の話です。

仲間内では、近所の河川敷で『警泥』と言う遊びをするのが流行ってました。
その時は、私 A B の三人が警察役(鬼ごっこで言う鬼役)、泥棒役(逃げる役)がC~Fの4人でした。
季節は秋、時刻は暗くなりかけた夕方。舞台の河川敷には葦のような背の高い草が群生しており、泥棒はそこに隠れるのがセオリーとなっていました

いつも通り警察3人で葦の群生地帯に入り泥棒を探します、小学生程度なら立っていても頭まで隠れてしまいます、何とか2人まで見つける事が出来ました、その後1人を見つけ「まて~」と言いながら追いかけます。
(仲間内のローカルルールで、警察が追いかけてる最中は「まて~」と言わなくてはいけない)
5分ほどの取り物劇で何とか捕まえ、最後の一人を探していた時です。

「マテェ~~」「マテェ~~」

群生地帯の奥の方から声が聞こえました。
しかし、おかしいのです。私の隣にはA君、そしてB君は泥棒の見張りをしていました。
誰が「マテー」と言ってるのか、A君は「多分待ちくたびれてんだよ、捕まえに行こう」と言います。

「マテェ~」「マテェ~」「マテェ~」「マテェ~」

ちょっと近づいてきた、何か変だ…、ヘリウムを吸った時見たいな声で左右からも聞こえてくる…、A君もおかしいと感じてるみたい。

「マテェ~~~」

近くでガサガサ音がする、私とA君は「うわッ!」と言いながら逃げようとしたが、「マテェ~」は私たちを囲むように聞こえる。
助けて助けてと念じながらA君を見たら、その向こうに何とも形容し難いモノがいました。

それは全身真っ白で、ロウソクを無理やり人型にしたようなモノ、顔の真ん中に窪みがあり、そこから「マテェ~」と声を発していました、私と目?が合った瞬間、全身をブルブル震わせ

「アァァアアァアァァァ!?!」

と叫びながら飛び込んで来ました、私とA君は死にもの狂いになりながら逃げました。
「何だよアレ!」「ふざけんな!」「助けて!」「ごめんなさいごめんなさい!」
もう自分で何言ってるかわかんないぐらい滅茶苦茶叫びながら逃げました。
群生地帯を抜け出し、皆の居る所へ半狂乱になりながら走ります。

他の皆は「どうしたん!?何かあったん!?」と驚きながら聞いてきます。
私たちは「変な奴出た!、白くて変な奴!、マテェーって変な声聞こえてたろ!?」
他の皆「いや、誰の声も聞こえなかったよ、何も見えなかったし、突然A君達の叫び声が聞こえて草むらから飛び出してきた」 と言います。

『変な奴』の説明が終わったころ「あれ?C君は?」B君が言います。
「見てない…もしかして変な奴に…」私は泣きそうになりながら言いました。
全員顔が青くなって来ました日も落ちて辺りは暗くなってます。

B君「…探しに行く?」
A君「俺は絶対嫌だ…」
皆も行きたくないって顔してます、私も当然嫌でした。
沈黙は、B君の「あ、あいつもう帰ってるかもよ!飽きっぽいし」で解けました。
皆で「そうだよな」とか言いながら自転車置き場に行きました。
C君の自転車はありませんでした、皆「やっぱり」と言う顔して笑顔になりました。

「変な奴もCだったんじゃない?」「そうかも、良く見た訳じゃないし布被って暴れてただけかも」
結局、変な奴の正体はC君で、悪戯が過ぎたと感じたC君はバツが悪くなって帰ったんだろうと言う結論になりました。

翌日何事も無かったように登校してきたC君は、私達に会ったとたん
「おい昨日何で先に帰ったんだよ、あの後大変だったんだぞ、警察に捕まるし、つうか俺の自転車知らない?」
と言って来ました、私達はびっくりして、
「え?!自転車無かったから帰ったと思った、って言うか警察って何やったの?!」「昨日草むらで変な奴見た?」
と聞きます。

C君は「変な奴?見て無いけどAとかの声は聞こえた、警察には帰れって言われただけ、A達の声が聞こえた後しばらくして草むら出たら誰もいなくて、帰っちゃったのかな?って思った、んで俺も帰ろうとしたら自転車が無くてさ、隠されたと思って探してたら警察がいっぱい来た。

…あとオヤジに聞いたんだけど、あの河原で 子供の死体 が見つかったってよ…
2年前に殺されて草むらの中に隠したんだって、犯人が見つかって自供したらしいぜ」
C君は、もうあそこで遊ぶのは怖いな、でも肝だめしにはいいかw などと言いながら笑ってました。

他の皆は顔を青くしながら半笑いでした、なぜなら私達はその子供に心当たりがあったからです、その件があってから河川敷には近づいてません。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?191

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