生首

まだ俺が学生だった頃の話

俺の部屋にはベットの前に観音開きの棚があるんだがある日、うっかり閉め忘れた。
夜、ベットに入った後に思い出したのだがもう眠いし…という理由で放っておくことに。

これで棚の上に生首なんかが乗ってたら怖いなw などと思いながらもう一回見た俺は固まった。
言った事が現実になった。
棚の丁度真ん中らへんに青白い男の首が乗っかって俺を見つめている。
数秒後、にやりと笑ってそれは消えた。

翌日、今度はしっかりと扉を閉めて寝た…はずだった。
棚の中からゴソゴソガサガサと音がする …勿論、棚の中には動く物は入っていない。
やがて扉がゆっくりと開き「あいつ」が姿を現した。

こっちを無表情に青白い目で見つめる。
そしてにやりと笑って消える …そんな事が何回も続いた。
そして、あることに気付いた。
毎回、姿を現すたびに俺の方に近づいているのだ。
いい加減頭にきた俺は扉にお札を張り、南京錠を掛けた。

その日の夜、またあいつが現れた。
棚の中でゴソゴソと動き回り、跳ね回る。
しかし、鍵が掛けてあるので扉を開けることが出来ない。
すると、今度は扉をドンドンと叩き始めた。
やがて、音が段々と大きくなり終いには扉が揺れだした。

その時、俺の後ろで怒鳴り声がした。
「こらぁ! 俺の子供に何するか! とっとと出てケ!!」
もちろん、親父の声ではない。
しかし、その声が聞こえたと同時に扉を叩く音がぴたりと止んだ。

翌日、信じてもらえないと分かっていながら家族に話をしてみた。
当然というべきか、信じてもらえなかった… 姉を除いては。
実は、姉も前はあの部屋を使っていて、見ていたというのだ。

数日後、神社の人にお払いをしてもらった。
宮司さんにそのことを話したら「その怒鳴り声というのは、君のご先祖様じゃないのか? きっと守ってくれたんだな」と言われた。
その日から、あの生首は俺も、姉も見ていない。

…ただ、今度は両親が見だしたようで、夜な夜な寝室の方から悲鳴が聞こえる。

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