小学校の頃の話。
学校は築40年くらいとかで、壁が所々はがれていたりカーテンが破けていたりと、けっこうボロい感じだった。
ある日、放課後に3階の音楽室で掃除をさせられたことがあった。消しゴムちぎって散らかしたんで、帰りの会の後、罰としてやらされた。
はじめは先生がいたけど、電話がかかってきたとかで呼び出されて職員室に行った。
なのでテキトーに終わらそうと考えて、めんどくせぇ~とかいいながらほうきを振り回してた。
すると廊下から、誰かが「お~い!」と叫びながら走ってる音がした。
男子のような声だったけど、ドアを閉めてたのでどんな奴かは見えなかった。
誰かふざけてるな~と思っていると、また「お~い!」と叫んで音楽室の前の廊下を走りぬけていった。
そこで、急に思いついて「はーい!」と返事をしてみた。
何でそんなことをしたのかと、今でも後悔している……。
足音は、隣にある理科室の廊下のほうへ走り去っていった。
そのあと掃除を続けていたら、足音が走り去った方向からまた「お~い!」という声が聞こえた。足音も近づいてくる。 そこでまた「ほーい」と返事をしてやった。
すると今度は足音がピタッと止んだ。
しばらくシーンとしたあと、今度は小声で「おーい」と声がした。
さっきまでとは違う、おっさんのような低い声だった。すげー怖くなって、しばらく固まった。
でも、よく考えたら「わざと低い声を出したのかも」という気になって、ふざけやがってとドアを開けて廊下をのぞいてみた。
誰もいなかった……。
理科室の廊下の先は行き止まりになってる。
理科室に隠れたのかと思ったけど、理科室はカギがかかっていたのを思い出した。 音楽室に入る前、ふざけてドアを開けようとしたけど、開かなかったんだ。
血の気が引いた。
びびりまくって、ほうきだけ片づけて逃げようと思って音楽室に入った。 清掃用具入れにほうきをつっこんだけど、テンパッてるのでなかなか入らない。
ますますあせってると耳元あたりに急に気配を感じた。
恐怖で顔は動かせなかったので、横目で見ると赤い顔みたいなものが見えた。天狗のお面とかあるけど、そんな感じの赤。
その直後、耳元で「おーーーーー」と低い声がした。それで気絶したんだと思う。
その後先生が来て、「何寝てんだ!」と俺を起こした。
先生に今あったことを話したけど、大泣きしてうまく説明できなかった。
「お化けだ、幽霊だ」と大騒ぎしたけど、先生はハァ?って感じだった。ただ俺の様子がとにかく普通じゃなかったので、落ち着くまで待ってから家に帰してもらった。
その後、不審者かもってことで校内を見回ったみたいだけど、特に変わったところはなかったらしい。
けど、足音はパタパタと軽い感じだったから、大人ってことはありえないと思う。その後も、しばらくはひとりで校内を歩けなかった。
学校といえばよく「以前は墓地で~」という話があるけど、別にそんなことはないらしい。卒業後も、事故で死んだ人とかいなかったか親や先生に聞いたりしたけど、何にもないっていわれた。
長々とすまん。あんま怖くないかもしれないけど、自分としては洒落にならなかった話。
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?168