お呼びがかかる

俺が中学生2か3年の時の話。

その日の夜は悪友のオウちゃん(更生済み)達と四人で近くの廃屋で肝試しをしようと約束をしてました。
(当時から俺はその悪友達とつるんでタバコ吸ったり軽い窃盗をしたりしてた此処で言う”DQN”)

オウちゃんに言われた通り、懐中電灯を一つ、マイルドセブンも一つ(笑)ポケットに突っ込んで、深夜11時頃家族に気付かれないように電気もつけずそっと玄関から出ようとした時、

「マサ。」とすぐ耳元で声がして

ビビッて後ろを振り向くと俺のじいちゃんが立っていた。

しばらく硬直しているとじいちゃんが口を開けた。
「お前、行かんほうがええど。」
「…え?」
行かんほうがええ、と言われましたが、じいちゃんは勿論この家の者に俺が今から何処に行くかなんて教えてません。

じいちゃんは、
「もう行く前から目ェつけられとる、行くな。」と言う。
わおぉ……その台詞を聞いて一気に心拍数が上がる俺。
「う、うそやん…てかじいちゃん俺が何処行くか知っとるん?」
「分からん。でも想像はつく。」

と基地外じいさんは抜かしやがる。

931 本当にあった怖い名無し sage 2007/04/09(月) 01:23:03 ID:E8xvmIIF0 そう言われても約束は約束です。
先祖が霊媒師(?)なせいか少なからず俺には霊感??
みたいなのは…多分ある。
(だから肝試しに呼ばれたってのもある)
急に行かないと言うと後々が面倒なのでその場で渋っていると、
玄関の黒電話が鳴り出しました。
慌てて俺が電話に出ると、相手はオウちゃんでした。
近くの公衆電話からかけてるとの事。
(1●年前なんでケータイは持ってません)

「マサヤぁ~、まだ家におるんか?
 はよ来いやぁ。」

オウちゃんは少しイラついてるみたいでした。

「ごめんごめん、ちょっと足止め食らって。
 すぐ行くけえ待っとってや。」

と、横に居るじいちゃんを見ると
ニヤニヤと気色悪く笑っている…
こういう時の嫌な予感は的中するもんです。
確実にじいちゃんは何か感じていらっしゃる様子。

932 本当にあった怖い名無し sage 2007/04/09(月) 01:24:12 ID:E8xvmIIF0 不安になってもう一度オウちゃんの名前を呼びました。
「オウちゃん?」
「………」
「オウちゃん??今どこ?」
「………」
えっ無言ですか、むしろ放置プレイですかっ!?
一瞬俺を怖がらせる演出なんて考えたんですが、
いくら呼びかけても、相手はうんともすんとも言いません。
いい加減気持ち悪くなってきて俺は電話を切りました。
すると横に居たじいちゃんが「お呼びがかかった②vv」
と言いながら踵を返し、闇の中へと消えていった。

「目ェつけられとる」て、俺なんかしたっっ?
まだ訪れた事のない場所で、その上そんな因縁をつけられる
なんてただのいい迷惑です。まぁ行こうとしてるのが悪いのですが…。
一気に恐怖が押し寄せてきて電話の前に立ち尽くしていると、
またジリリリィィン!!とベルが鳴りました。

933 本当にあった怖い名無し sage 2007/04/09(月) 01:25:56 ID:E8xvmIIF0 恐る恐る電話に出ると、また無言。
言っておくが一緒に行く友達は俺にそんなフザケた
マネなんかしない(と思ってる)。
というかオウちゃんは地元で有名な悪で、
キレたら手がつけられませんという位恐ろしく
そんな彼にX(エックス)を崇拝しているという点で
気に入られてた俺に悪戯なんてする奴は居なかった。
(たまに居たけど、そいつらは手厚い洗礼を受けたらしい)

電話の向こうからうめき声が聞こえるとかじゃなくて
本当に無音。サーーっという音も全く聞こえてこない。
全身の毛穴が開くようにゾワッとしてまた電話を切った。

また電話が鳴った。
俺は電話に出ず、すぐに受話器を叩き付けた。

また電話が鳴る。叩きつける。
また鳴る。叩きつけるの繰り返し。

キチガイみたいに鳴り続ける電話さん。
いよいよ怖くなってきた俺は電話線をぶち抜き
自分の部屋に猛ダッシュ。
チキンな俺はそんなもんを目の当たりにして眠れる訳がなく
布団に包まりながら朝を迎えた。

次の日、肝試しに行けなかったことを謝りにオウちゃんの家に行った。
不思議なことにオウちゃんは怒ることなく快く出迎えてくれました。

「ごめんなオウちゃん、昨日色々あって肝試し行けんかったわ…。」

気まずそうに俺が言うとオウちゃんは俺の肩をポンと叩いた。

「いや、謝らんでエエよ。てか、お前本当に昨日来とらんかったよな?」
「は?」
質問の意味がワカリマセンがな、と考えてたら
オウちゃんが昨日のことを話してくれました。

あの夜オウちゃん達は廃屋の前で俺を待っていたそうです。
痺れを切らしたオウちゃん達は、先に中に入ろうと言い出し、予備の懐中電灯で辺りを照らすと、すぐ後ろに俺が立ったそうな。

みんな「お前ェ~ビビらせんなやっ!!」とか言ってたんだがすぐ気付いたらしい。

俺なんだけど、俺じゃない。

なんとも言えないんだが絶対違ったという。とゆうか別人。
偽者の俺は「ごめんごめんvv」といいながら笑っている。(その笑い方が怖かったらしい)
偽俺が「じゃあ、いこーぜ」と廃屋に入るよう促した瞬間全員が一目散に逃げたそうです。

その後すぐに俺の家に電話したが、俺が電話線を抜いた後だったので電話がつながらなかった。
この時オウちゃんは俺が死んだ!!と思ったそうです。
勿論オウちゃん達が電話をかけたのはこの一回だけ。
何度も電話をかけた覚えはないとの事でした。

オウちゃんは終始笑いながら「いい経験させてもらったわ」と話していたが、もしもあの時じいちゃんが止めなかったら…と思うと俺は全然笑えなかった。

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