山を持ってた

昔、うちは小さな山を持っていた。

頂上に小さな社が設けてあって、時々爺さんがお供えや掃除をしていた。
新興住宅地が近いんで、よく子供が勝手にうちの山に入っていたんだけど、うちの爺さんが「遊び場も無いんじゃ子供たちが可哀想だ」って黙認してた。

そのうちに山ん中で怪我する子供もでるわけよ。 
そうすると、親は最初に学校や役場に苦情いれるのよ「あんな危険な場所どうして放っておくんだ」って。
で、山がうちの所有だとわかると、うちに団体で押しかけて苦情を言うのよ。

うちにしてみりゃ勝手にひとんちの土地に入ってるのになに言ってんだって話なんだけど、相手はそんなこと聞きゃしない。
柵で囲めとか安全な道作れとか、しまいにゃ役所に寄付して公園作れとかもうムチャクチャ。
町内会有志の改善書とか持ってきた時は、さすがにこっちも怒ったけど、そうすると今度はこっちの事をキチガイ守銭奴扱いする始末。

爺さんすっかり落ち込んで、もともと特に何か事業とかしてたわけじゃないから、二束三文で山を売っぱらって家族みんなで引っ越した。

この間小学校の同窓会があって聞いた話だと、木を全部切り倒して禿げ山にした後、違法な産廃廃棄場になったみたいで、雨が降ると土砂と薬物が流れて下水が詰まったり、風が吹くと悪臭が漂ってくるそうな。

業者に関連する人はみな柄が悪く、町はすっかり雰囲気が悪くなったみたいで、皆愚痴ばかり言ってた。
「おまえの家が山売らなきゃよー」とか言って絡んできた奴もいたが適当にごまかしてさっさと帰った。

山にまつわる怖い話49

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