細くて長い人

うちのじいさんも良く似た話してた。

戦争中、ジャングルの中で5人位でメシの支度してたら、細長い案山子みたいなやつ(顔がなかったとは聞いていない。手は普通の人よりだいぶん短いが、足が異常に細くて長かったらしい。一目見て、人間??て思ったらしい。)がゆっくり出てきて、火の上の飯盒見て、指差しながら、喚きちらしまくった。

5人の中に現地語を簡単な日常会話ぐらいできる人がいたが、何を言ってるのかまったく分らない。
敵の陣地からはけっこう離れていたし、火を焚いても大丈夫な位味方の陣地に近い場所だが、偵察部隊かなんかにばれると怖いから、とりあえずお白湯を渡して丸太に座らせた。

飯が炊けたので食ってると、そいつが凄く欲しそうに白湯の碗を突き出してくるので、ほんの少し入れてあげたら、食べずに持ってた汚い布に包んで、また碗を差し出す。
じいさんより偉い人が、「食わんのなら、もうやらんでええ。」って言ったけど、じいさん達は隙を見てもう一回渡した。

今度は飯を食った。
そして凄い勢いで飛び上がると、元来た藪へ足もとも見ずに走りこんでいった。
上官が、じいさんたちに、「なんや!!お前らあいつになんかしたんか!」って怒鳴って説教していると、後ろの茂みでドン、ズサッって大きなものが倒れる音がした。

様子見て来いって言われて、一人が行くと、そこには後ろ足を折られて変な方向にひんまがった水牛?が倒れていたらしい。
その牛にとどめを刺して、翌日陣地に運んで皆で食ったって。

不思議なのは、その付近の偵察はそうとう行われてて、陣地付近には現地人の集落は全くないはずで、そのあたりで現地人に会った人は、今までいなかったらしい。
それに当時としては身長が高かった仲間より身長がずっと高く、現地人では今まで見たことないほどの長身、足長だったらしい。

山にまつわる怖い話51

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