俺が小さい頃…20年くらい前の話で、未だに『雪の日の怪』として我が家に伝わる話。
その日は夕方くらいから雪が降り始め、雪が止んだ夜半過ぎには10センチほど積もっていた。
午前中から家にいたのが俺と妹、祖母の三人。
親父と祖父が仕事から帰ってきたのが夕方4時くらい。
お袋が買い物から帰ってきたのが夕方6時前で、この時点で1センチくらい積雪があったらしい。
それ以降、誰も外に出てないし来客もない。
午前0時頃。
祖母が「どのくらい積もってるんだろう」と台所の勝手口を開けたところで異変に気が付く。
『積もった雪の上に足跡がついている』
見ると、家の前の道路、その向こうの空き地、更にその向こうの道路の先から、明らかに俺の家の勝手口を目指して歩いてくる足跡がついている。
パニックになった祖母に起こされた祖父親父お袋が、手分けして家の中や外の物置きを捜索するものの、不審者が侵入した形跡は一切なし。
家に向かってくる足跡は勝手口の前で消えており、どう考えても何者かが勝手口から家に侵入したとしか考えられないんだが、台所は居間と隣接しているので誰かが入ってくれば嫌でも気付く。
その上、出ていった足跡が周りにも、裏の庭にも残ってない。
足跡の主が『自分がつけた足跡の上を後ろ向きに歩いて帰っていった』という事になるが、誰がそんな事を?理由も分からない…
翌朝、お袋が足跡を辿ってみたが、車のタイヤ痕に消されて追跡は不可能だったらしい。
未だに語り継がれる、そんなお話。正直、幽霊なんぞより気味が悪い。
ほんのりと怖い話42