ボロい二階家

地方紙に載った話で。

自分が住んでるところは群馬の閑静な住宅街だが、一軒だけ外れの草深いところにボロい二階家があった。
いわゆるプチゴミ屋敷で、家の前にタンク?とかモーターみたいな部品が積み上げられてて、ブルーシートが被せられてたんだが、夏場に漂う異臭もあいまって近所でもトラブルになってた。

町内会で嫁が聞いてきた話によると、住んでるのは50~60のおっさん。
無愛想で気まぐれに挨拶したり、無視したり、と気難しそうな人で、日中はほとんどうちに閉じこもってたみたい。
一度苦情申し立てにいった勇敢なおばちゃんによると、酔ってるのかうなずいたり終始無言だったり、まあよく聞くゴミ屋敷の変人だったそうな。

で、異臭の他に問題なのが、ブーなのかズーなのか、なんとも言えん音。
自分も近所なので買い物帰りに家の前通ったりしたことはあって聞いたことはある。
さほど大きい音ではないけど何かの低周波みたいな音がずっと流れてた。
これ、近所にしてみたらイライラするだろうなぁ…と思ったんだが、嫁の話で実際これがトラブルの元だったと知る。

玄関脇のこじんまりした庭に物見やぐらみたいな鉄塔があって、やや大きめのアンテナ?もあった。
低周波はここから出されてるのか?とも思ったが、よくわからなかった。個人宅なのに・・・無線マニア?とか思ったな。(無線がどういうのか詳しくないので違うかも・・・)

そんなことが続いていたある年、とうとうこの音が耐え切れなくなるくらい大きくなったとかで、ついに市役所が動いてゴミを撤去することになった。
それがどういうわけか、夜には警察沙汰に。
ここらあたりまでが新聞に載った。

ここからがやっと本題です。長々と前置きですまん。

実は自分には県警に高校時代の友人がいる。
二人とももういい年のおっさんなんで、そいつもそこそこの役職にいる奴です。
久しぶりに集まって飲んだときに、ふとそのゴミ屋敷の話が出たんだよ。

これはその友人に聞いた話。

市職員がそのゴミ屋敷に入った際、中は例に漏れず生活ゴミや汚物もいっぱいだったが、機械とか器具で埋め尽くされていた、動いてるのもあれば壊れたまま放り出されたものもあった、中には戦時中のかあつ機?みたいなのまであった(メーカーに問い合わせたら戦時中に生産されていたもので、当然もう使われていないとのこと。加圧機?)

これは少々信じがたいので友人に何回も確認したけど、たしかに戦時もしくはそれ以前に作られてたものらしい。
あと壊れてたけど、かなり初期のPC(80年代初期あたり)もあった。

これで終わればただの奇人変人ですんだのだが、問題はそこに住んでたのがおっさん一人じゃなかったってこと。

なんと恐らく計6人、他2名がその家に住んでたそうな。

他2名はなんとなくお分かりかと思うが、死体でした…orz
死後10年以上たって白骨ミイラ化したのが2体、2階部屋の隅に寝かせられてたそうで、これで通報されますた。

おっさんを除く後の5名は親族なのか、息子なのかみんな男性。
全員いわゆるアウアウアーな人たち。
うち何人か見た目がよく似てるので、苦情おばちゃんも全く気づいてなかったみたいだな。

当のおっさんはというと、通報するしないで押し問答のうちに姿をくらましてどこにいったのか、分からなくなってる。
これはさっきまで話してたおっさんだと思ってたら、いつのまにか別のアウアウアーさんになってたからだそうで、その場の誰も気づかなかったらしい。
恐らく6人というのは、それが確認できないため。

当時警察では、機械の設置具合からおっさんには専門的知識があった、あとの5人には到底できないものだと見てたらしいけど、そのおっさんがこの家で何をやっていたのか、どういう身の上でどこからきてどこへいったのか、全く見当もつかず。結局ゴミ屋敷で死体遺棄、例の5人は施設に保護という形で終わらせたそうです。

10年くらい前の話。
ちなみに老朽化してぼろぼろだけど、その鉄塔はまだ近所に立ってる。
低周波はもう聞こえてません。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 70

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