友人の話。
山中の曲がりくねった県道に、バスが廃棄されてある場所がある。
幽霊が出ると噂されていたが、友人はまったく信じていなかった。
彼は棄てたバス会社をよく知っていたし、そのバス自体が事故など何も起こしていないというのだ。
そこで彼は仲間と深夜の肝試しに出かけたのだという。
バス内を荒らしまくったが、予想通り何も出ない。
さて帰ろうと、バスの外に出た時。
ぼろぼろのバスの上から、いくつもの無表情な顔が彼らを見下ろしていた。
慌ててその場から逃げ帰ったという。
後日調べると、バスのすぐ上の尾根にため池があり、そこで何人かが入水自殺をしていたことが分かった。
それって一種の引っ掛けだよなあ。
彼はいまだにそう言ってぼやいている。
山にまつわる怖い話6