グーディナル

先輩の話。

アメリカへ出張に行っていた時のことだ。
向こうの山に登って、親しくなった現地のガイドに聞いたのだという。

一人の時に山小屋を見つけたら、入る前に注意することだ。
普通の山小屋なら何も問題は無い、ゆっくりと休むがいい。

だが、もし、小屋の扉がひとりでに開いたら―
   もし、踏みしめた床が柔らかく弾力に富んだピンク色だったら―
   もし、酸っぱい臭いのする液体が滴っていたら―
   もし、床の上に骸骨が散乱していたら―

それは山小屋ではなく、グーディナルなのだから。

ガイドによるとその地方に伝わる民間伝承の怪物で、短編小説にもなったそうだ。
その土地には食虫植物が多く見られるのだが、ひょっとしたらその化け物かもな。
そう言って、ガイドは酒を注いでくれたという。

山にまつわる怖い話3

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