同僚の話。
元解体業者の彼は、奇妙な仕事を請け負ったことがあるという。
現場は奥深い山林の中にあった。 
かなりの豪邸だったが、更地にしてほしいと頼まれたそうだ。 
もったいないと思いながら崩していると、地下に小さな空間があった。
座敷牢だった。 
真砂土で埋めてくれと言われたが、そこのごつい格子戸が気になった。 
牢の中からつけられた傷が、そこかしこに見受けられたという。 
人間がつけられるような、ちゃちな傷跡ではなかったらしい。 
傷のいくつかは、明らかにできたばかりの新しいものだった。
依頼主も仕事の紹介者も、それについて何も語らなかった。 
あれはいったい何だったのかと、今も時折思い出すのだそうだ。
山にまつわる怖い話4