知り合いの話。
飼い犬を連れて実家近くの里山を歩いていた時のこと。
いきなり山鳴りがして、地面が大きく揺れ始めたのだという。
地震に弱い彼は思わず地に這いつくばったが、なぜか犬は平然とした顔をしている。
青い顔をしている飼い主を、犬は小首をかしげるようにして見ていたが、すぐに藪へ向かって吠えたてた。
唐突に地震は止まり、藪の中を何かが遠くに逃げていく音が聞こえた。
犬は何事も無かったかのようにあくびをしていた。
彼はその晩、犬に骨付き肉を振舞ったのだそうだ。
山にまつわる怖い話4