黒く大きな手

友人の話。

地元で登山大会がおこなわれることになり、彼も山道の整備を手伝っていた。
道を塞いでいる倒木を片しているうちに、彼は誰かに背中を叩かれた。
次の瞬間、ひどく突き飛ばされて前のめりに倒れてしまう。

誰だ!と起き上がると、黒く大きな手が握りこぶしを作っているのが見えた。
手は背後の木の幹から生えていた。
慌てて逃げ出したが、他のメンバーにはそのことを話せなかったという。

大会直前、ルートが急に変更され、その木のあった道は使われないことが決まった。
「やっぱり何かあったんだ」そう思ったが、何があったのかは聞けなかったそうだ。

山にまつわる怖い話6

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