砂かけ

友人の話。

彼の実家の山村に、まだ小さな火葬場があった頃のことだ。
死人が出るとそこで一晩荼毘に付すのだが、その不寝番にちょっかいを出すものが時々出たらしい。

不寝番の者が酒を飲んでいると、背中から砂をかけられるのだという。
驚いて背後の闇を見渡しても、何も見当たらない。
しつこい時は、一夜に何度も砂をかけられたのだそうだ。
酒でも飲まないと持たないな、と村の老人は笑っていた。

しかし砂かけが現れると間もなく、必ず村には子宝が恵まれていたという。
「砂かけは連れて行った人の代わりを連れて来る」と言われていたそうだ。

今では合同の大きな火葬場ができ、村の焼き場は取り壊された。
もう砂かけも出なくなって久しいそうだ。

山にまつわる怖い話6

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