知り合いの話。
山間にある彼の村には、昔小さな火葬場があったそうだ。
小さいと言っても、煉瓦で組まれた窯と鉄製の大扉がついた立派な建物だったらしい。
そこで働いていたお爺さんに聞いたのだが、時に不思議なことがあったという。
亡骸を焼いていると、中から悲鳴がして扉が力一杯叩かれるのだそうだ。
慌てて内部を確認すると、遺体はきちんと納めたままの格好で横たわっている。
訝しく思いつつも再開すると、また悲鳴が聞こえてくる。
何が悲鳴を上げていたのか皆目分からないので、考えるのを止めたという。
そのうち、係りの者も遺族も、中から声が聞こえても無視するようになったそうだ。
現在その火葬場は取り壊されて、墓参り用の駐車場になっている。
山にまつわる怖い話6