蟻地獄

アメリカで山岳ガイドに聞いた話。

その日、彼は尾根を歩いていて足を滑らせてしまった。
滑り落ちた先は、砂地にできた奇妙な穴だった。
すり鉢状になっていて、まるで巨大な蟻地獄のようだったという。
穴の底には、脱出できなかったらしい動物の骨が見えたそうだ。

急いで穴から出ようとしたが、砂が崩れて上まで上手く登れない。
大声を上げて近くにいる仲間に助けを求めた。
仲間のおかげで無事に穴から出られたのだが、その時穴の底からある音が確かに聞こえたのだという。

舌打ちの音だった。

慌てて目をやったが、何も怪しい物は確認できなかったそうだ。

山にまつわる怖い話6

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