肝試し

知り合いの話。

彼は山奥の小さな小学校に通っていた。
卒業する直前、級友たちと夜の校舎で肝試しを実行したのだという。

木造の古い階段を登り、二階の彼らの教室へ行って帰るということにした。
階段を登りきったところで、階下からカタカタという音が聞こえる。
思わず顔を見合わせていると、やがて階段の下に見慣れた物が姿を現した。

チョークの粉を入れて、校庭に白線を引く道具だった。
誰も押す人は見当たらず、まるで一人でに動いているように見えた。

次の瞬間、いきなり白い粉を吹き上げ、そいつは猛然と階段を駆け上り始めた。
彼らは恐怖の叫びを上げ、てんでばらばらに校舎内を逃げ回った。
気がつくと皆、無事に校舎の外に脱出していた。
その後すぐに家に帰ったのだという。

翌日、学校中の廊下という廊下には、乱れた白線が引かれていた。
前夜彼らを追い掛け回した道具は、一階のトイレ隅で力尽きていたそうだ。

山にまつわる怖い話8

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