動くシーソー

友人の話。

彼の家は新興の大きな団地で、開けた山の中腹に在る。
家から少しの所に小さな公園が作られており、よく散歩に出かけるのだそうだ。
彼曰く、そこの少し寂れた情景が好きなのだと。

ある黄昏時、いつものように公園で一人佇んでいると。
すぐ横をタタタッと、まるで幼子が駆けていくような音がした。
音がしなくなると同時に、シーソーが独りでに動き始める。
徐々にシーソーの動きは速くなって行き、やがて信じられないくらい激しいものになった。

 ガンガンガンガンガンガンガン・・・

我に返った彼は、シーソーの上にいる何かが降りてこない内に退散することにした。
できるだけ静かに、足音を殺して。

彼は今でもその散歩を欠かさないが、同様な体験をもう一回だけしているという。
その時に何かが遊んでいたのは、ブランコだったそうだ。

山にまつわる怖い話17

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