友人の話。
小学生だった夏休みに、実家の山村に里帰りしていた時のこと。
その家では朝顔が沢山咲いており、宿題の観察日記をそこで仕上げようと考えた。
朝が弱かった彼女は、朝顔の蕾に向かって「誰でもいいから待っていて」とお願いしたのだという。
翌朝。案の定寝過ごした彼女が慌てて花壇に行くと、蕾という蕾がはちきれそうな状態のまま咲かずに固まっていた。
「あれっ咲いてないや」そう不思議に思った次の瞬間。
ぱんっ!
すぐ後ろの山方から、誰かが手を打ち鳴らす音がした。
途端、一斉に朝顔の花が開き始める。
あっという間に、花壇は朝顔の花で満たされた。
花の開く過程というものは美しいなぁ、と実感できたという。
誰かの気遣いに感謝した彼女は、気合いを入れて日記を書き上げたそうだ。
山にまつわる怖い話23