友人の話。
夕暮れの山道を一人で歩いていた時のこと。
上の方からカーンという音がして、道の少し先に空き缶が転がってきた。
誰かが蹴り飛ばしたんだなと考えたが、蹴った主の姿は一向に見えない。
怪訝に思いながらも缶の横を通り過ぎた。
五十メートルも歩いただろうか。
背後より再びカーンという音が響く。
驚き振り返ったが、既に空き缶は視界に入らなくなっていた。
しばらくして、またカーンと聞こえた。誰が蹴っている?
立ちすくむ彼を無視するように、音は段々麓の方へ下って行ったという
山にまつわる怖い話23