知り合いの話。
猟師をしていた祖父と、一緒に山に入っていた時に教えられたこと。
どこにどんな木が生えているか、ざっとでいいから覚えておけ。
見慣れない木がある時は近よるんじゃない。
この山にはクビリの木というものがあって、これに捕まると首を括ってしまう。
だから怪しい樹木、覚えのない樹木は、極力避けるようにな。
そう言われたのだという。
もっとも、木の区別がつく程の知識、俺には少しもないけどね。
頻繁に山に入ることはないけど、爺ちゃんにもっと話を聞いておけば良かったよ。
彼はどことなく寂しそうな顔をした。
山にまつわる怖い話26