地響き

友人の話。

夏山に入り一人テントで眠っていると、激しい音と振動で目が覚めた。
「ダカッ! ダカッ!」という地響きが、段々こちらに近づいてくる。

寝惚け眼を擦りながら、テントから顔を突き出して外を見てみた。
闇の中、何かが素晴らしい早さで向かって来ている。
慌ててライトを点灯し、向かってくる物を照らし出した。

テントの目と鼻の先を、馬の足だけが走り去っていった。
呆然とする彼を無視して、猛然と土を蹴立てながら。

翌朝テントの外には、確かに馬の蹄跡が残されていたという。

山にまつわる怖い話28

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