近所に大きな古墳がある。
当然立ち入り禁止なんだけど、見張る人なんていないから
子供の頃は友達と内緒で入って遊んだり、まわりのお堀で魚釣りなんかしてた。
ある日、古墳で土器に破片を拾ったという同級生がいて、クラスのちょっとしたヒーローになってた。
それを見た俺は自分も欲しいという思いと、俺もヒーローになりたいという考えから軽い気持ちで古墳で土器を探しにいった。今思えば本当に馬鹿なガキだったと思う。
古墳につき、さっそく古墳に繋がる橋を渡り、古墳に入る。
といっても本当に中に入る訳でなく、土が詰まれ、木がたくさん生えた古墳の上を歩くだけである。
いつもは友達と来ていたが、クラスのヒーローになりたいと考える俺は、その時たった一人で来ていた。
友達と来た時と違い、一人でいる事の不安感も覚えたが、まだ周りは明るい時間帯だったので構わず古墳を散策した。
しかし、まだまだ子供だった俺は散策始めて暫くたつとすぐに飽き始めた。
まわりは歩きにくいし、肝心の土器がまったく見つからないからだ。
そこで俺は罰当たりな事に、古墳の地面を近くにあった木の枝で堀り始めたのである。
地面の下には土器が沢山埋まっていると考えていたし、そこが昔の人の墓なんて知らなかったかのだ。
だけど木の枝で掘れる地面なんてほんの少しであり、土器は見つからなかった。
ふと見上げると日が赤い、もう夕方になっていたのか、仕方ないもう帰ろうと思い腰を上げると、木々の間に何かがいることに気付いた。
それは夕日の逆光で影になっており良く見えなかったが、人型である事がわかる一瞬、同じ様に土器を探しにきた子供かと思ったが、その影はあきらかに大人のものだった。
俺はヤバイ、古墳に入った俺を大人が捕まえに来たんだと思って、すぐに逃げ出した。
逃げ出すと言っても、まわりは木ばかりだし歩きにくい地面である。
このままだと捕まるんじゃないかと振り向くと、影はこちらに向かって来ており、やはり自分を追ってきているようだった。
しかしおかしな事に気付く、影の動き方が非常にフラフラしており子供の俺でも逃げ出せるくらいにゆっくりとした速さで、こちらに向かってきているのである。
何してるんだあいつ、と俺は思ったが、そこでさらにおかしい事に気付いた。
逃げ出した結果、今は夕日が古墳で隠れている場所に立っている。
だというのに影が影の姿のままなのだ。
そこでやっと影が人間でない事がわかった。
なんだあれ!そう思うと同時に俺は古墳の堀を渡る橋へと走った。
アレに捕まりたくない、早く逃げないと、走りにくい、でも逃げないと必死に走り、橋を見つけ、堀を渡たる。
影はどうなってる、そう思い振り向くと影は橋を渡れないようでそこでフラフラしている。
俺はそのまま家へと走って逃げだしたのだった。
今思い出してみると、罰当たりな事をしていた俺に何かが罰を当てに来たんじゃないかなんて考えてる。
古墳は千年以上の歴史を持った墓であり、そういった不思議な存在がいてもおかしくないんじゃないかと。
ただちょっと怖い事がある。
最近、窓から外を見ると古墳と俺の家の間にある家の屋根に人影の様な物が見える時があるのだ。
雨や夜、よく周り風景が見えない時に見えるので気のせいじゃないかと思ってるのだが。
アイツ、俺を探してるのかな。
ほんのりと怖い話67