数年前、親戚のおばあさんが亡くなられた。とても穏やかな往生だったそうだ。
で、そのおばあさんが亡くなられる数日前、お袋がその人の元を訪れた。
そのときはまだすごく元気で、たずねてきたお袋を迎えてくれたのだけど、お袋が家に上がってからも、なぜかずっと外を見たまま動こうとしない。
「どうしたの? 外に何か居るの」
とおふくろが聞くと
「いやほら、そこに居る人にも上がってもらってよ、知り合いでしょ?」
って言う。
お袋は外を見てみたが、そんな人はいない。
仕方なく
「誰? どんな人が居るの?」
とたずねたお袋に
「いるじゃない、黒い服を着た人が沢山並んでる」
って答えたそうだ。
これが世に言う「お迎え」ってヤツだったのかねぇ。
ほんのりと怖い話71