写真・思い出

念願の彼女が出来て二人でドライブに行く事になった。彼女はイケイケだったり、ハジけてるわけでもない淑やかで清楚な感じの女の子だった。
ドライブの最中、好きな音楽や映画、景色などの話しをしながら極普通だが楽しんでいたのだが、前方を走る車がスピードを下げて少し反対車線に避けるように走った。

原因は猫?の轢死体だとすぐわかった。
昼間の時速3-40km、徐行ではないが痛々しい猫の姿がハッキリ目視できた。
その光景に二人とも何か口にするわけでも無かったが、彼女はそれから黙り気味になってしまった。
内心『優しい子なんだな、猫が好きなのかな?ああいった場面が極度に苦手なのかな?』と思った。

それから昼食を済ませたが、彼女は食欲もあまり無い様子で『少し気分が悪いから今日はこれで家に送ってほしいゴメンなさい』と言われた。あれが原因かは知らないが、気分の優れない彼女を連れまわすのは可哀そうと思い、そのまま家に送った。

それから数ヶ月後、彼女は市内だが引っ越す事になった。
付き合うのに支障は無い距離。俺は彼女の引越しの手伝いをした。
そして、彼女が買い物に行ってる間に荷物の一つに目が留まった『写真・思い出』と書かれたダンボール、興味で覗いてしまった。誰もが見たいモノだろ。数十冊あるアルバムを広げていった。
幼少期、小中学生、高校、今でも漂う大人しそうな感じの子が彼女だとわかる。
そして数冊目、俺はどうしたら良いかわからなくなった…

そのアルバムの中は

轢死体の動物達の写真群だった。
十冊近かっただろうか…

あの日、
彼女は本当に気分が悪くて家に帰ったのだろうか。
家に帰って、そのまま休んだのだろうか。

ほんのりと怖い話73

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