落ちるおじさん

先日、大学の同期の友人と久々に食事した時の話。

友人は大阪に出て技術職、私は地元で病院に就職しましたが勤めている病院は古く、度重なる増改築で構造はぐちゃぐちゃ、たまに立ち入る旧館の方は零感の自分でもちょっと薄気味悪い感じすらします。

そして定番の、誰もいない部屋からナースコール、外に誰もいないドアをノックされる、勝手に開く自動ドアなど妙なことも数回経験しました。
食事の途中で、「病院って本当にそんなことあるんだねー」と何気なく話題に出したんです。そしたらその友人も、「自分の会社にもそういう事がある」と聞かせてくれたのが以下の話です。

「あのね、窓の外をおじさんが落ちるの」

私は「…え?」と聞き返しました。
友「会社が入ってるフロアがビルの14階なんだけど、その窓からまっさかさまに落ちていくおじさんが見えるんだよ。しかも定期的に。私就職して半年ぐらいだけど、その間に3回あったかな」

私「ええぇ……。それって、自殺した人が死んでると気づかずに何回も飛び降りてるとか、そういう……?」
友「ううん。何年か前に、窓拭きのおじさんが事故で落ちて亡くなったらしいの。落ちるときいつも同じ青い作業服姿で、落ちる窓も同じだし。私は直接見えない側のフロアだからいいけど、隣の会社の人がちょくちょく見ちゃうらしくて。新人さんとかはかなりびっくりするみたい。落ちるのが見えたら、一応下とか確認して管理会社に連絡するんだけど、まぁ何もないよね。ほんとに誰か落ちてたらそれはそれでやだし」

私「絶対嫌だ……私そんな会社なら間違いなく辞める」
友「うん、結構辞める人多いみたい。仕事もハードだから40代とか50代の人がいきなり亡くなったりするしねー。心臓とか癌とかで」

それって本当に病気のせいだけなのか、と聞きたかったんですがやめておきました。
友人は「勝手に開く自動ドアとか、そっちの方が怖いし!」と言っていましたが個人的には絶対に「落ちるおじさん」の方が怖いと思います……。

ほんのりと怖い話79

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