この間の年度末のデスマーチのお話。
出る出ると噂の我が仕事場、同僚の8割が怪奇現象を体験してる。
トイレで鏡見ると後ろに知らない女が立ってたり(男子便所)納期に追われてない時期、誰も居ない時間帯に防犯装置に「何か」が引っ掛かってアルソックが飛んできて「やれやれまたか」と言いながら帰っていったりとか。
オカルトは好きだが全然見たこと無いしこんな職場に居るのに一度も心霊体験をしてなかった俺。
一度でいいから俺の前にも出てきてくれと思いながら仕事をしていたのだが、納期間際だと勿論そんな悠長な事は言ってられず。
先月の年度末の納期間際。よりによって一番忙しい時にそいつは現れた。
あとはバグ取りのみという仕事中。
潰せども潰せども終わらないバグ取りに俺を含む数人発狂寸前。
トイレを済ませていざ机に向かおうとした時、突然照明が明滅し始めた。
照明が落ち真っ暗闇、そんな中突然俺の目の前に見知らぬ女が現れた。
同僚じゃない。受付の女の人でもない。紛れも無く見知らぬ誰か。
なんの前触れもなく目の前に現れた。
リングの貞子のように長い黒髪、顔は見えない。
白いワンピースに同じく白い肌、どう見ても生きてる人間の肌色じゃない。
そこで俺の意識は途切れ、気が付けば自宅のアパートの布団の中だった。
ぼーっとしながら時計を見ると遅刻寸前であることに気付き、慌てて出社。
電車内で意識が途切れる直前の光景を思い出し、
「アレが俺の心霊初体験か。見た瞬間気絶なんて俺もヘタレだなぁ…」
と5日徹夜だった脳細胞が少しは機能を取り戻しつつあるのを確認しながら会社に着く。
…なんだか同僚がよそよそしい。っていうかあからさまに避けられてる。
アレ、これイジメ?
そういや気絶した後気がついたらアパートだったし
覚えてないながらも仕事途中で帰ったからハブられ中?
と割と落ち込みながら年度末の掃除に取り掛かろうとしたら上司が現れたので
昨日の事を謝ろうと思い切って声を掛けた。
そしたら「ちょっとこっちに来て」と言われ別室に行くよう促される俺。
よっぽどマズイことしたのか俺…それとも昨日の怪についてだろうか?
…別室で聞かされた話は「非常にマズイ話」だった。
…上司によると、俺が気絶したあとの顛末はこうらしい。
いきなり現れた「白い女」に向かって俺は突然グーパンチ。
ITドカタで落ちた筋力の何処にそんな力が残っていたのかと思うほど渾身のパンチだったらしい。
吹っ飛んだ「白い女」に俺はさらに追い打ちをかけたそうだ。
「○○行目のバグもお前のせいか、○○行目のも!お前が、お前が!!」
…どうやらここ数日の仕事の鬱憤を全部その物の怪にぶつけたらしい。
その間の記憶なんてありゃしないが。
5日徹夜というのはまともな人間だとたいがい壊れる、とは上司の談。
どう考えても人間でない相手にマウントポジションで殴りまくる様は同じく発狂寸前だった同僚たちを正気に戻し、ドン引きさせる程であったとか。
…今俺は上司に都合をつけてもらい一区切りの長期休みを貰っている。
しかし来月から出社するのが怖い。
同僚との空いてしまった距離を埋められる自信がない。
ほんのりかどうかわからなかったが割と本気で俺にとっては怖い話なんでこのスレに投下させてもらった。長文スマソ
いやあの女も冷静になって考えりゃ怖かったし…
ほんのりと怖い話83