一週間か二週間か…まぁ、どっちにしろつい最近の話。
深夜11時ごろ、犬の散歩で久しぶりに母校の小学校のそばを通った。
「懐かしいなぁ」とか思いながらちらちら見ながら歩いてた。
柵越しに母校の売りであるでかい校庭を眺めてたら突然
「バァン!!」
って音が鳴った。
本当に突然だったから心臓止まるかと思った。犬の方を見たら目をまん丸にしてどこかを見つめてる。
目線を追ったら体育館の裏手に出るドアを見てるみたいだった。
ちなみに裏手に出るドアは校舎裏みたいなもんで、普段は一切使われない開かずの扉になってる。
で、そのドアから5m程のところに柵を隔てて公道がある。まぁ俺はその道を歩いてた訳だ。
しばらく犬と一緒に固まってるとまた
「バァン!!」
どうやら体育館のドアを叩いてるみたいだった。
ドアの材質は良く防火扉とか叩くとうるさい鋼鉄製の奴だし、位置的にも間違いなく音源はそれ。
「うわぁ変質者?幽霊?」なんて暢気な事を考え…られる程の余裕なんぞある訳がない。
ビビリながら足早に立ち去ろうとすると、今度はドアがガチャガチャ言い出した。
ドアノブが微妙に動いてるが開かない。開かずの扉で鍵が閉まってるから当然だわな。
ふと、紳士な俺はそこで中に誰か閉じ込められたのかもしれないという考えが浮かんだ。
正直今考えると、何故あそこでそう思ったのかさっぱり理解出来ない。紳士?いいえ、ただのバカです。
で、犬を学校の柵に繋いでから、塀を乗り越えて侵入した。ドア越しに「どうかしましたー?」なんて声をかけてみる。
へんじがない。ただのしかばねのようだ。いや、もうこの時点でおかしいんだけどさ。
助けを求めてる人間が声も出さずにガンガンドア叩いてる訳がない。
つーかこのご時勢に携帯持ってないやつなんて小学生でも珍しいだろう。
声かけてからその事に気付いた俺はどっと冷や汗が出てきて、音を立てずに離れようとした。
すると
「ギィィ…」
という音。振り向かんでも分かるわ。昔も今も開かない筈のドアが開いてやがったのな。
背後にビンビンに視線を感じながらさっさと柵を飛び越えて、犬のリードを柵から解く。
で、その時にちょっとばかしドアの方をチラ見したのよ。
もしかしたら生身の人間かもってのと恐いもの見たさっての半々で。
まぁフラグだよね。やっぱり、と言うべきかドアが開いてんの。
小学生生活6年間で一切見たことの無かった風景。でも誰もいない。俺と犬、脱兎の如く逃走。
50m6秒台記録したんじゃねーのって速さで走った。
学校の七不思議にもない話だったもんで、家に帰ってから妹に七不思議が変わってないか聞いてみた。
しかし、まぁちょっと細部に変更点があるものの大差はなし。体育館のドアの話もなし。
結局なんだったか分からなかったので、散々妹をビビらしてから寝た。
妹の泣きそうな顔見てちょっと勃起した。世間じゃ妹は可愛くないっていうけど、あれは人による。
俺の妹は可愛い。
とまぁ話は逸れたが大体こんな感じ。
後日談なんてご大層なもんじゃないが、翌日登校した妹によればドアも鍵も閉まってたとの事。
まぁ実話なんで綺麗なオチなんてない。
大概の体験談と同じく「何だったんだありゃ」という定番の締めになるが、悪しからず。
ほんのりと怖い話84