けものくさい

小学校の頃、一人の女子と中がよかったんだけどさ、見た目普通で話してても何もないのに、時々変なにおいがしたんだ。
なんていうのか、けものくさいっていうか、動物のにおい。それも時々ふわっと鼻をかすめて意識するともうしなくなってる、みたいな。
動物でも飼ってるのかなって思って聞いても「いないよ」としか言わない。

あるときさ、ふいに匂いがするときその女子が何か握ってるのに気づいた。
黒っぽい、フェルト?そんな布を手縫いして作ったらしい3センチくらいの小さな巾着。
それを握ってた。

長いっていわれたからわけるね

好奇心で俺はそれを開けちゃったんだよ。
女子が体育で更衣室行った間にさ。筆箱の中入ってたから。

白い短い毛と、歯が入ってた。
たぶん、犬の。

まわりの温度が下がった気がして直感でやばいってわかった。
視界の焦点のあわないところで何かが動いてた。白っぽいものが。

あのとき教室には他の誰かがいたけど、それを感じたのは俺だけで今じゃその女子がどうなったかわからない。
教室から出たらなんともなくなったけど、少し怖くてその女子とは疎遠になってしまった。

あれはなんだったんだろう。

ほんのりと怖い話95

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 匿名 より:

    えっ同級生がいるときに他人の筆箱を開けてその中の巾着も開けたん?
    こいつのほうがよっぽど怖いわ