合宿教習

合宿教習で地方へ行った時の話。

安いプランで申し込んだから案内されたのはボロボロの寮で、俺の部屋は4階の一人部屋だった。
初日からおかしなことは起きた。

朝から晩まで、ほぼ3分刻みでベランダの窓を叩く音がする。
それは手の甲で「コツン」程度の時や、平手で「バン」、頭をぶつけるような「ドン!」くらいの時など本当にバラバラで、かなり気になる。
最初はハンガーが窓にぶつかったのかなとか、風で窓が揺れてるのかなと思った。
でも、ベランダに何もかけなくても鳴るし、風が無い日でも鳴る。
気味は悪かったけど、実害はないので無視して過ごしてた。

で、卒業検定が近くなったある日、教習生3人で組んで高速道路に行く教習があった。
それで俺は、ちょうど真上の部屋に入ってる女の子2人と同じグループになったんだ。
道中はその娘達と大学生活とか食い物とかの他愛ない話をしてたんだが、ある時俺が窓の話をしてみたんだ。

そしたら、その娘達の部屋でも、合宿初日から窓を叩く音がずっと鳴ってると言っていた。
さらに、女の子の一人が窓に向かって「いつもいつもうるさいんですけど~!」と言ったら、その日の夜中にテレビとエアコンの電源が勝手について、テレビのほうは十数秒ほど激しくザッピングしたらしい。

それ以降、俺は窓の音が一層気になるようになってしまったが、頑張って無視して過ごした。
で、卒業検定の日の朝、食堂のおばちゃんに一連の話をしたら、その寮は以前から部屋番号に「02」がつく部屋(102、202、302、402、502など)で窓を叩く妙な音がするという話がある、と教えてもらった。

その後は何もなく卒業したけど、その寮(というか02の部屋)には何か棲みついていたんだろうか。
俺も女の子達のように反応を示してたら何か起こってたのか、と思うと少し怖くなる。

ほんのりと怖い話105

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