隣の空き部屋

もう30年以上前だし子供の頃のあれ(不法侵入的な?)なので時効だから記しとくわ

自分は大阪の泉州生まれ泉州住みなんだけど、小学生の時は貝塚市ってところの森団地に住んでた。
そういや森って地域は今と違ってほんとうに森の中みたいな土地だったわ。
(もう当時の50棟くらいあった団地は全部取り壊されて、今は跡地に高層アパートみたいなのが立ってる)

母子家庭だった自分は鍵っ子で、基本いつも家には一人でいたんだけど、ベランダで繋がってる隣の空き部屋にこっそりとちょくちょく遊びに行ってたんだよな、手すりを伝って壁を越えてさ。
3階だったから、今考えるとめちゃめちゃ危なかったよなってたまに怖くなるんだけどね
で、隣の部屋はもちろん誰もいなくてガランとしてんだけど、よく一人で畳の上や押し入れの中で寝てたりしてたわけ。

ある時、目を覚ましたら辺りが真っ暗でさ、今まで暗くなるまで寝過ごしたこと無かったから急に怖くなったんだ。
帰ろうとするんだけど、ホントに真っ暗だからうまく歩けない…と言うか自分が今どの部屋にいるかわからないくらいに真っ暗だったんだよな。
手探りで歩くんだけど、なんかおかしい…団地の部屋なんだからこんなに広くないって気づくわけさ。

あん時は焦ったねマジで…何分も壁に手をついて歩いてるのに全然向こうが見えないんだから
いつもはベランダから自分の家(部屋)に戻るんだけど、こりゃヤバいと思って玄関から出ることにしたんだが、その玄関すらどこにあるか方向がもう全然わかんないの。

しばらくするとさ、これ夢だろって思えてきて、疲れたしまた寝っ転がってみたんだ。
しばらく虚空を眺めてると、ぼんやりと天井の模様が見えてきた。
暗さに慣れてきたと思ってると、すぐ隣で声がする。
「なんかおる!」って言う子供の声なんだけど、いやなんかおるって言いたいのはこっちの方なんやけど…なんて呑気に考えてたら、「なんや!誰や!」ってまた声がする。

不思議と怖くなかったのは、子供の声だし、なんか聞き覚えのある声やなって感じたからだと思う。
でも自分から声を出すのは絶対やべぇと思ったので、物音を立てずにそーっとその場から逃げたんだ。
手探りでドアを見つけたので急いで内鍵を開けて外に出て、無事自分の家に戻りロックした
テレビをつけたらドラえもんやってたの覚えてるわ。

あの声なんだったんだろうね。
面白いのは、あの時聞いた声が自分の声のようでもあるんだけど、今でもたまに不意に聞こえるんだよな。

ほんのりと怖い話140

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