祖父の夢

うちの祖父、無口なんだけど私たちチビには文句も言わないし優しい人だった。
時代劇が大好きで、自分の水戸黄門好きは爺ちゃんからきてる。
昔から変わってるって周りから言われる私が、敷地の庭に出て行ったきり見かけなくなると、心配でいつも見に来てくれる人だった。
私は庭で虫捕まえたり犬と遊んでたりやんちゃだったんだけどね。
大学のときも日向ぼっこして寝てたたら、ちょこっと顔出してふふって笑ってくれたりして。

祖父の容態が悪くなったときは、東京で割とブラック企業だった場所にいて休みなんてとれなかった。
亡くなる前日に突然虫の知らせ?みたいなのがあって、その日の昼に飛行機飛び乗って、その数時間後に祖父が亡くなった。
実の子である母や叔母たちがドン引くくらい散々泣いた。いまでも淋しい。本当に大好きだったから。

亡くなって一年間は、祖父の夢を見ても顔は出てこなかった。
声とか、背中とか、手だけとか。ああ見てくれてるなって安心してたりした。
でもある日、すごい困った顔で夢に出てきたの。

遺影の中に祖父がいるんだけど、本当、(´・ω・`)って顔。
ちょっと怒ってるような、でもどうしたらいいのかわかんない顔してた。
線香と蝋燭と水と花、いつもの仏壇の様子なのに。
え?なに?どうしたの?って聞いたけど(´・ω・`)の顔のまま。遺影の中で困ってる。

そのまま目が覚めて、結局なんだったんだろう……って家族におはよーって挨拶したら、
母が「ねえ聞いて、」とやけに真剣な声で切り出してくる。
もしかして爺ちゃんの夢見たのか?とおもったけど、鈍い人だしなと考えてると、
「衝撃だったわ。猫ちゃんが、仏壇の水飲んでたの」
「え!?」
「衝撃よね……」

あ、あ~~~、なるほどね! ごめんね、爺ちゃん!
猫ちゃんは叱っておきました。
扉も開けっ放しはよくないね、と閉めるようにしました。
猫はお水が美味しくないと他の水場に行くそうなので、美味しいやつに変えました。猫飼ってるおうちの方は気を付けてね。

祖父はたまに家うろうろしてたり、時々夢に出てくる。
割といいこと教えてくれるのでありがたい。

ほんのりと怖い話141

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