父から聞いた話。
私の父は、昔から山登りが好きで、大学生の時には、サークル活動とは別に一人でも登山していたらしいです。
ある秋の日、父はあまり高くない地元の山に散歩程度の気持ちで、出かけたそうです。
ふもとから一時間もかからずに頂上につき、ベンチに腰を下ろして、いつものように双眼鏡を取り出し、ふもとの景色を眺めようとしたそうです。
しかし、双眼鏡を通して見えたものは、自分達の住む田舎町ではなく、どう見ても西洋の町並みでした。
おかしい、と思って、双眼鏡から目を離してふもとを覗くと、今度はいつも通りの町並みが見え、もう一度双眼鏡を覗くとまた西洋の町が見えたそうです。
結局何度やってもそれは同じことで、2時間後、ついに父も観念して山をおりたそうです。
今もあれがなんだったのか気になって仕方がない、と父は言っていました。
山にまつわる怖い話5