小学3年生の秋、2つ上の兄ちゃんと家の目の前の雑木林に遊びにいった。
川 林 道路 家 の順に並んでて、道路は余り車が通らない、林の幅は狭くて迷子の心配がない、川は浅瀬、と子供の遊び場として調度よく、普段から私と兄は友達を交えてしょっちゅうそこで遊んでいた。
その日兄は玩具の銃で缶や木を的にし、私は兄の邪魔にならないように、でも遠くもない場所で、木の実や虫を採集したり、落ちてるゴミで工作してた。
的←兄 私→
(矢印は目線)
玩具の銃のパンッパンッと鳴るリズミカルな音を背に遊んでいると、耳の奥が痛くなるくらいの強い耳鳴りがし、ぼーっとしてると、ふと気付けば銃の音がしなくなっていた。
後ろを振り返ると兄がいない。
歩く音もしなかったが、ぼけっとしてたせいで聞き逃したのかと、名前を呼びながら探しまわったらすぐに見つかった。
でも何か様子が変で話し掛けちゃいけないような…
あんなに呼びながら探してた私のほうを見もしない。
「…にーちゃん?どしたの」
怖ず怖ずと聞くと、兄はゆっくりと顔を向けながら、見たこともないひしゃげた笑いをした。
ぐしゃりと笑う目鼻立ちが時計回りに35度ぐらい、輪郭の中でずれてた。
ショックに固まる私に、兄はゆっくりと近付いて手を伸ばしかけた瞬間、頭上で玩具の銃の音がパパパンと鳴り響いた。
体の緊張が取れた私は猛ダッシュでその場から逃げ出した。
すぐに家につき、母親に震えながら泣き付くと、兄帰宅。
兄ちゃんはちょっと横暴で、八つ当たりで私を殴り泣かせたりするやんちゃタイプで、喧嘩いっぱいしてたけど仲間ってかんじで仲良しだったのに、このことがあってから大人しくて変に物分かりのいい兄になり、距離ができてしまった。
何でもいいから怖い話を集めてみない?2