小学生の頃、いつも使う通学路の近くで、新たに道をつくって橋を架ける工事をしていた。
俺たちは学校の先生から危ないから近付いちゃいけないといわれていたのだが、ある日曜日に友達とその工事現場に入り込んだ。
その場所は新たに道を作るだけあってかなり広い工事現場で、 俺たちがあちこち歩き回っていると、一緒に来た友達のAが「うわ!」 という声と共に地面が落盤みたいに陥没して下に落ちた。
俺たちは「A、大丈夫か?」と慌てて駆け寄ると、Aは無事なようで 「やっべー、穴あけちまった」とか言っている。
どうも怪我もなく元気らしい。
それで、とりあえずAを引き上げないといけないので、何か梯子かロープかないかなと探していると、突然Aが「下になんかいる!」 「地面がもこもこ動いてる!」と騒ぎ出した。
大騒ぎするとみつかってしまうと思った俺たちはAに「静かにしろよ!」 と穴を覗き込みながら言った瞬間に全員凍りついた。
Aの踏みしめている地面一帯のあちこちにAの顔が沢山ある。
そのAの顔たちは全員目をつぶっていて、まるで死んでいるようだった。
Aも俺たちの反応を見て異常に気付き下を見てパニックになって 「なんだよこれ!なんだよこれ!」叫び始めて、その騒ぎで当然のように俺たちは見付かってしまった。
その後、Aは近所の人に穴から助け出され、俺たち全員親や学校の先生にこっ酷く叱られた。
それから、だいぶ経って工事は終わり橋もかかったのだが、俺たちが沢山のAの顔を見つけた場所は不自然に道がそこを避けるように迂回して、 穴があったらしい場所にはでかい石が置かれ、まわりは芝生で整備されていた。
結局、あれがなんだったのかは親も誰も教えてくれなかったので今でも謎のままだが…
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