先住者

小学4年生の頃だったはずだから、もう20年ぐらい前か。
親戚が念願の新築立てたんだよ。
それを祝うために家族全員で遊びにいったときの話。

1つ上の親戚の子(従兄)が「2階に俺専用の部屋があるんだ!」と大ハシャギして案内してくれてね。
真新しい部屋を嬉しそうに説明してくれたんだ。自分だけの部屋ってのがそれはもう羨ましくて「兄ちゃんスゲー!」って尊敬の眼差しで見てた。

で、どうやら天井裏に部屋(物置みたいな役割なんだろうな)があるらしく、従兄は「俺の秘密基地にするんだ」とか言ってたのを憶えてる。
自分専用の部屋だけでなく秘密基地まであるとか、どんだけ凄いんだとか従兄に対する好感度は上昇しまくりで、俺も一緒に大騒ぎだったのよ。
従兄も得意になって「お前にも見せてやるよ」と天井裏へ案内してくれる事に。

廊下の天井にある入り口を専用の棒(先端を入り口のノブに引っ掛けて回し、フタを開く)で開けて、その入り口のフタの裏に据え付けてある梯子を伸ばして天井裏へと昇る・・・という構造。
自分の家にはないギミックを見て台興奮する俺。
さあ梯子を伸ばそうかって従兄が棒を梯子にかけようとしたら、天井裏から手がにゅっと現れて入り口をバタンと閉めてしまった。

一瞬だったから何が起きたか分からなかったけど、誰かがいるって事だけは理解できた。
2人の家族は1階のリビングに全員いる。じゃあ今の誰だ?
俺と従兄は絶叫しながら皆の所に戻って泣きながら「天井裏に誰かいる!」と主張。
新築だし泥棒じゃないかと疑った家族が、まず確認してくれたが天井裏には誰もいなかった。結局、俺らは「変にリアルな嘘をつくな!」と怒られた。
今もその従兄とは付き合いがあるが、あの時の腕は何だったんだろうなと話題になる。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?207

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