これは俺の婆ちゃんから聞いた、まだ婆ちゃんの若い頃の話
それは肌寒くなってきた夜のこと、婆ちゃんがふと外を見ると、隣の家との境に生えてる柿の木の下にちょうちんが灯っていたそうだ。
婆ちゃんはお客さんだと思い、木の横にある牛小屋で仕事をしていた爺ちゃんに「あんたー、お客さんだよー」と呼びかけたそうだ。
ところが、爺ちゃんが小屋から出ると同時に、ちょうちんの光は闇にまぎれるように消えてしまった。
不思議に思い婆ちゃんも庭に出て、爺ちゃんと一緒に探したが、そこには誰もいなかったそうだ。
そのちょうちんには隣の家の家紋が書かれていたらしく、今考えるとあのちょうちんは隣の家の若くして亡くなった奥さんが、残してきた子供たちのことを心配に想い、ちょうちんの灯りとなってやってきたのではないだろうか。
ちょうちんが現れた日を、俺の婆ちゃんははっきりと覚えてないが、隣の奥さん(今となってはおばあさん)の命日も肌寒い夏の終わりの日だそうだ。
これって提灯お化けっていうの?
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?203