手を振る人

ちょっと思い出したのでひとつ。

今から20年ほど前、夜中山道をドライブしていた。
小海からぶどう峠を超え、しばらく進むと、道路の真ん中に人が見えた。
車のスピードを落とし近づくと、その人は「おーい、おーい」というような感じで両手を振っていた。

俺はなんか事故でもあったのか?と思い、車を徐行させると、その人はダッシュで逃げて、橋を渡って横道に入ってしまった。
そのまま徐行して近づくと、横道の奥の方で人が見えた。
再び両手を大きく振っている。
その道に入ろうとすると、再びダッシュで逃げる。
なので、その道に入るのを止めた。

もし、事件や事故ならば車に近寄って、俺に助けを求めるはずだが、なんであいつは逃げるのか? と思ったが、場所をよく考えたら、もしかしてと思い、俺の方が逃げ出した。
もし、両手を振る人の方に進んでいったら、どこまで行ったんだろうか。

山にまつわる怖い話56

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