2日の夜のことだ。
夜中に人の気配を感じて目を覚ますと、制服姿の警官がわたしを見下ろしていた。
怖いというよりビックリしてしまい、身動きがとれない。
生きた人間でないことだけはわかる。
「正太…」
優しい声だった。
「すまない。おとうさんはもうダメだ。母さんを頼む。仕事ばかりでいい父親じゃなかったが、母さんやお前のことをほんとうに愛していた。強い男になってくれ」
霊も涙を流すのか。
わたしも胸に熱いものが込み上げていた。
ただ問題なのは、
わたしは正太じゃないし、男でもないし、父はまだ生きてるってことだ。
どこからツッコめばいいやら。
ほんのりと怖い話45