もう十年以上も前、俺が高校生の時の話。
2年の夏に、男5人で泊りがけで海水浴に行くことになった。
ナンパするほど根性のある奴がいるわけでなし、むしろちょっとオタク臭いメンバーの俺たちは、純粋に海水浴を楽しむ計画を立てた。
場所がバレかねんが、透き通ってて綺麗な海だったよ。地元千葉のそれとは大違いだった。
今考えると、その水の綺麗さが仇になったんだな。
場所がバレかねんが、透き通ってて綺麗な海だったよ。地元千葉のそれとは大違いだった。
今考えると、その水の綺麗さが仇になったんだな。
初日。予約していた民宿に荷物を置き、すぐさま海へ。
ゴムボートを借りた俺達は、砂浜で遊ぶ友達二人を残して三人で少し沖の方まで出ていた。
(沖って言っても、注意を受けたりはしなかった。
昔のことだから、今より規制もいくらかゆるかったのかも)
俺はボートに乗ってゆらゆら揺れを楽しみ、友達のAとBはゴーグルつけてプカプカ泳いでいた。
深さは2メートルいかないくらい。
深く潜って海底に手を付けるかどうかとか、くだらない遊びをしていた。
暫くそんな風にしていると、Aが急に慌てた様子でボートへと上がってきた。
続いて、Bが怪訝な顔で海面へと上がってくる。
「どうしたの?」とB。
「女の、死体!中!」Aは必死の形相で答えた。
水を飲んだのか咳き込んでいる。
俺もBもポカンとした。
「お前、何言ってんだよ」
「そういうのいいから」
「いいから、見てみろよ!」
「そういうのいいから」
「いいから、見てみろよ!」
言われるまま、Bはもう一度潜っていった。
すぐに海面に上がってくるB。
すぐに海面に上がってくるB。
「まじまじ!うわーなんだよあれ!」
「だから言ったろ!」とA。
「え、ホントなの?」と俺。
「だから言ったろ!」とA。
「え、ホントなの?」と俺。
正直、このとき俺はAとBが俺をハメようとしてるんじゃないかと思っていた。
だって、波は穏やかだったしね。まさか、水死体なんて。
「なに、ダッチワイフとかじゃねーの?」と笑いながら言うと、「そんなんじゃねーよ!」と少しキレ気味に言われた。
そんなに言うならと俺はBにゴーグルを借りて、海の中に入った。
潜って辺りを見回す。
「なに、ダッチワイフとかじゃねーの?」と笑いながら言うと、「そんなんじゃねーよ!」と少しキレ気味に言われた。
そんなに言うならと俺はBにゴーグルを借りて、海の中に入った。
潜って辺りを見回す。
あった。
俺らよりさらに10メートルほど沖に、確かに人型の物体が、此方に頭を向けながら、丁度海面と海底の真ん中辺りに浮いている。
正直かなりビビったがボートに手をかけて逃げる準備をし、目を凝らした。
すると、仰向けのその物体の首が急にダランと下がり、こっちを向いた。
同い年くらいの、青いビキニを着た黒髪の童顔女。
笑ってる!
そう思った瞬間に、その女は体を前方にグルンと回転させ、此方に足を向けた。
あっと思うと同時に、違和感。
その体は、何時の間にかその顔と分離し、顔をその場に置き去りにしていた。
身体から切り離された逆さまの首は、笑い顏のままプカプカと浮かんでいる。
首無しの体は分離した首をそのままに、沖の方へと泳いで行った。
ここまでで、僅か数秒の出来事
パニック状態で海面へと上がり、二人乗りのゴムボートを俺がバタ足で押して砂浜へと逃げ帰った。
ABは俺の必死の説明を聞いて震え上がり、砂浜にいたCとDには馬鹿にされた。
警察だかレスキュー隊だかに電話しようと言う話も出たが、これ以上関わりになりたくなかったので悩んだ末にやめた。
大事になるだろうし、そもそもアレは明らかに人間ではないとの俺の主張によるものでもあった。
残りの時間、CDを除く俺ら三人が沖へと行かなかったのは言うまでもない。
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?307